メジャー

カイロプラクティックで「脚の長さが左右で違う」と言われた人に読んでほしい記事

その腰痛の原因は何処に?

私のところに来ているお客様で、腰痛の方がいます。
その方は、ここに来る前に整形外科にもカイロプラクティックにも行ってみたそうです。
整形外科では
「多少、側彎(そくわん)があるが、手術するほどではない」という診断を受け、
それでもやはり痛みをなんとかしたいと思いネットで探したカイロプラクティックに行くと、
カイロプラクターには
「右の脚が左脚より短い」
「腰骨が右の方が高い」
と、言われたとのことでした。
カイロプラクティックでの施術が、費用に見合うほど効果がないということで、そのお客様は私のところに来ました。

腰痛ピクト

骨盤は歪みません

私は普段から他のお客様にも、
「骨盤は歪みません」とお話しさせていただいています。
骨盤の周囲の筋肉の不調和によって、骨盤全体が「傾く」ことはあり得ます。
骨盤でも背骨でも、「骨」そのものが曲がることはない、そう思っておいてください。
もしくは本当に「骨」が曲がったり変形している状況であったら、カイロプラクターでも整体師でも私でもなく、医師に相談するべきです。
骨そのものは人間の手で「矯正」など不可能なぐらい硬く、曲がりもズレもしませんが、
「骨格」は多数の骨が組み合わさって多数の関節があります。
体の外側から見たときに体が「歪んで」見えるのは、骨の周囲に付く筋肉が硬くなったり、色々な理由で筋力が弱かったりすることで、歪んだような姿勢になってしまっているからです。

トレンデレン前から

では、冒頭の実例に話を戻します。
私はお客様から聞いたカイロプラクターの「見立て」を鵜呑みにしませんでした。
また、「側彎なので、これ」「右脚が短いなら、こう」と、いうように施術開始前から決めませんでした。
少なくともマッサージ効果によって一時的であっても腰痛が和らぐように施術しつつ、
何度かの施術を通して、ほとんど全身的に、もちろん左右両方の、色々な筋肉に手で触れて、
硬さ、筋肉の緊張具合、または筋力の弱さを、私の感覚で「読み取り」ました。
すると、そのお客様について、「あるバランスの悪さ」に気付きました。

トレンデレンブルグ徴候

過去に勉強した知識を思い出し、「もしかしてアレでは…?」と予感がしたので、
あるテスト法を、お客様にやってもらいました。トレンデレンブルグ徴候というものです。
片足立ちした時に、立ち足側の股関節の外の筋肉に力が入らないと、骨盤を水平にキープすることができない
というテスト法です。
再び同じ画像を見てください。

トレンデレン前から

骨盤を水平に保つ中臀筋

右脚が悪い場合は、左脚を上げると、その徴候の有無がわかります。
上の図の場合、浮かしている左脚が悪いのではなく、
片足立ちになる右側に問題があります。
中臀筋という、股関節横の筋肉が弱いと、骨盤を水平キープできずに、骨盤の左側が落ちてしまいます。
(画像・参考:トレンデレンブルグ徴候 )

このテスト法をやってもらったところ、お客様はちょうど図と同じ様に、右足立ちの時に骨盤が左に落ちて姿勢をキープできませんでした。

冒頭のカイロプラクターの見立てを思い出してください。
「腰骨が右の方が高い」 これは図と同じ様に、左が下がり、右が高いように見える状態のことだと思います。
しかし問題は、これは「骨盤が歪んでいる」という理由ではないということです。
骨盤が歪んだりズレているからではなく、特定の筋肉に力が入らないために、骨盤を水平にキープできずに「傾く」からです。

次は別の画像ですが、「悪い方の脚」は同じく右ですので、合わせて見てください。

トレンデレン後ろから

側彎は先か後か

今度の図は後ろから見た図なので、左右を混乱しないと思いますが、
右脚のお尻の筋肉である中臀筋が弱いと、骨盤が左に傾いてしまい、右が上がる。
そして注目してほしいのは、背骨です。
骨盤の傾きを代償するために、背骨は右に曲がります。
この図の場合で言えば、先に側彎があったというよりは、中臀筋あるいは股関節に何らかの問題があるために、骨盤が水平をキープできないことが先にあり、そのバランスの悪さを代償しようとして、背骨をくねらせています。
私のお客様の場合は先に側彎があったのか、上の様に先ずトレンデレンブルグがあったのか。
(画像・参考:◆腰痛に繋がるBadな動作。トレンデレンブルグ兆候 )

次に、中臀筋は股関節を外転させる筋肉ですが、ということは右の中臀筋にトレンデレンブルグ徴候があるお客様は、
右の股関節の外転力が弱い、もしくは内転する筋肉の緊張が強いということです。
つまり、右の脚は内転しているのだと思います。

仮性短縮仮性延長

下肢の仮性短縮・仮性延長

見た目上の長さではなく、医学的・解剖学的に正しく「脚の長さ」を測定するには、
「コノ骨のココから~コノ骨のココまでの長さを測定する」と、定義があります。

「寝かせて見たら、右脚の方が短い」というだけでは、ドコから測定しているのか不明です。

そして、股関節が「内転」している場合は、脚の長さは「仮性短縮」します。
つまり、脚が内側に「入った」状態では、「見た目上の脚の長さは短縮する」のです。

医学的・解剖学的な下肢長の測定法には二種類あるのですが、
「仮性短縮・仮性延長」が出ずに、真の脚の長さを測定する方法は、
(骨盤からではなく、)大腿骨~外くるぶし を測定する「転子果長」というものです。
(画像・参考:運動器疾患の評価と理学療法 )

メジャー

もう一度、冒頭のカイロプラクターの見立てを思い出してください。

カイロプラクティックの先生は、「仮性短縮」と「転子果長」の違いを知っていて「右の脚が左脚より短い」と言ったのでしょうか?
トレンデレンブルグ徴候のあるお客様の中臀筋や股関節にある問題に気付けずに、「腰骨の高さを揃えて脚の長さを合わせよう」という考えで何らかの「矯正」をしても、
筋力の問題で骨盤を水平キープできないのなら元に戻ってしまいそうです。

見立てが違えば次にするべきことも違ってしまう

僕は時々、国家資格者でない者に施術させるのは危ないことだと言いますが、
単なるリラクゼーションであれば、うるさく言うつもりはありません。
それとは明らかに違う、「腕も知識もある先生」と思われているカイロプラクティックや整体の先生は、
実は国家資格を持っていないし医学の基本を知らないかもしれませんよ。
そういう人に、「あなたは片脚が短い」と「診断」されてしまうと、本当の問題が見つからなくて、次にするべきアプローチも間違ってしまうのです。

もしかしたら・・・と、仮説を立てたり、見つけたりすることと、それを治せるかどうかは別の問題ですが、
先ずは見立てられないことには、「自分で施術を試みるべきか、病院に行ってもらって確定診断を得てもらうか」の判断もできません。
今回のお客様には、
「私には、筋肉を“ほぐし”たりストレッチしたりして筋肉のバランスの調整を“試みる”ことと、
もしかしたら、“痛み”が多少は和らぐかもしれないことぐらいしかできない。」
と伝えました。また、
「筋肉ではない原因があり、“骨や骨盤が変形”していることが本当にあるとしたら、
それは私にはどうにもできない。」
とも伝えました。そして、
「私に気付けたことは教えます。トレンデレンブルグ徴候というモノである気がするので、
もし根本から治す方法があるか知りたいのなら、医師に私に言われたことを伝えてみること。
ちなみに具体的には『中臀筋』という筋肉の問題かもしれない。」
と伝えて、『トレンデレンブルグ、中臀筋』と書いたメモをお渡ししました。

時間をかけて体に触れるということは、その人の状態を知ること

手技療法の真価のひとつは、
施術前や問診で「見立て」を決定して施術を開始するのではなく、
体や筋肉に触れ始めてから、その人の体を「読み取っていく」ことにあると考えています。

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