手から氣!?

「手」のマッサージで肩こりが軽くなる!?手の「内在筋」と「外在筋」とは

肩こりの人は前腕や手のひらの筋肉まで硬い

私がお客様にボディケアマッサージをさせていただく時、
とくに「肩こり」や「首こり」のあるお客様へは、腕や手も一緒にマッサージしています。
理由は、筋肉や筋膜のつながりから考えると、「腕や手から来る肩こり」がありそうだからです。
もちろん肩こりの原因として考えられることはそれだけではなくて、姿勢であったり目の疲れであったり様々なことが複合して起こる症状だと思いますが、肩こりのあるお客様を全身的にマッサージした場合に、肩・首・肩甲骨の周囲の筋肉の硬さに加えて、前腕(ぜんわん)や手のひらの筋肉も硬くなっている人が多いです。
そして時間をかけて腕や手のひらや手の指先までマッサージをすると、「肩が軽くなった」と感じるお客様が多いのです。

手から氣!?

手から「氣」は出ないが、熱は出る

手技療法やマッサージを職業でやっていると、お客様から、
「先生の手って凄く温かいですね!!!」
と、感激されたり不思議がられることがあります。
これは多分、“手技の人あるある”で、他の施術者やセラピストもよく言われるんじゃないかと思います。
そして実際にこれまでの職場で私の隣のベッドで、
「よく言われるんですけどね。私の手って普通の人とちがうみたい。お客さんにも私の“氣”を送っておきますね~」
と言う施術者がいたこともありました。

でも私は、
施術者が手から熱を発するのは、「氣」ではないと思います。

筋肉というのは使われると「産熱」します。
身体のある部分を動かすための筋肉は、ひとつの筋肉ではありません。
手の指を動かす筋肉も、
  1. 粗大な働きをする「手の外在筋」
  2. 複雑・精巧な働きをする「手の内在筋」
    に分けられます。

技法にもよると思いますが、手技の施術者が手指を繊細にコントロールしながらマッサージをした場合、
普通の人が日常生活では使わない「手の内在筋」を総動員させることになるため、結果として手が発熱するということは大いにあります。
話が逸れましたが、それを「氣」と呼ぶかどうかはともかく、「施術中の手が熱を発する施術者は手指を繊細に駆使するという意味で巧い施術者が多い」と言えなくもないように思います。

母指球筋

母指球筋などの手内在筋

手の「内在筋」「外在筋」

手の内在筋とは、手首よりも指先側につく筋肉です。
筋肉には「始まり」と「終わり」があるのですが、内在筋は始まりも終わりも手や指の骨に付着しています。
「手の中だけで完結している筋肉」ということですね。

では逆に、手の外在筋とは、
手や指を動かすために、腕(上腕や前腕)の骨から始まっている筋肉です。
外在筋は内在筋よりも遠くから伸びている筋肉ということですね。

ものを握るような使い方は外在筋でもできる

指を曲げるような動きは手の外在筋で可能です。
粗大(そだい)な働きといって、大雑把な動きですが力も強い筋肉です。
手や指まで伸びている筋肉ですが、その始まりの位置は肘や前腕にあります。
普通の人の日常生活で使うことが多そうです。

複雑で精巧な指の動きで使う内在筋

内在筋もさらに分けることができますが、
例えばロッククライミングやピアノで使うようですし、手の母指球を形成する筋肉は親指が色々な方向に動けることを可能にしています。
ちなみに私はこの仕事を始めてから母指球筋が発達してしまいました。

肩こり1~3

写真1

腕から来る肩こり

(写真1)
疲れた手指(内在筋)を前腕の筋肉(外在筋)がフォローする

  • ①手首から先の筋肉は細かいものが多く、おのおの連携して動いているため非常に疲れやすい。それをフォローするのが、
  • ②前腕屈筋群や
  • ③前腕伸筋群。
  • 疲れる筋肉は人によって違うが、疲労度は自覚しにくい
肩こり4~6

写真2

(写真2)
前腕の疲れを上腕の筋肉がフォローする

  • 前腕屈筋群や前腕伸筋群が手指をフォローするため(外在筋が内在筋をフォロー)、肘から先も疲れる。ここで腱鞘炎の症状が自覚される場合もある。疲労が蓄積すると二の腕まで動かすようになり、
  • ④上腕筋や
  • ⑤上腕二頭筋、
  • ⑥上腕三頭筋
  • などが酷使される
肩こり7~8

写真3

(写真3)
疲労で肩から腕全体が筋肉の硬直を起こす

  • 上腕二頭筋も上腕三頭筋も肩の骨や肩甲骨とつながっているため、肩周辺の筋肉が酷使される。
  • ⑦三角筋や
  • ⑧僧帽筋上部・中部
  • などは細かい作業にむかない筋肉なので、すぐに疲れ、硬直してしまう

さらにこのあと、肩甲挙筋や菱形筋といった、首・肩・肩甲骨の周辺の筋肉まで硬直してしまい、肩こりとして自覚します。
(引用・参考 「弱った体がよみがえる人体力学」井本邦昭)

前腕や手のマッサージで肩こりが軽くなる可能性

上とは別の方向から考えることもできます。
肩の関節というのは骨のハマりだけでは浅くて緩いのです。
ですから、自分の腕から先の重さを支えているのは、腕の筋肉であったりします。
上腕の筋肉は肩から肘のあたりまでに付いています。
また、肘のあたりからは手の外在筋が付き、指までつながっているのですね。
いずれにしても、筋肉の連鎖反応を考えたとき、肩こりと腕や手の筋肉は関係がありそうなのです。
偶然見つけた理学療法士さんのブログでは、
「肩こりは一つには手の使い方が関係してくると思われる。」と書かれていました。http://ameblo.jp/neomantaro/entry-11973482561.html

また、こういった「連鎖」は下半身でも起きていて、
腰痛の原因が太腿やふくらはぎ以下の筋肉の硬さから来ているケースがあるのと同じです。

以上のような理由から、私は筋肉の連鎖を考えて、つながりを追って筋肉をほぐしていくので、
例えばお客様の希望が「肩と腰のマッサージ」であっても、両腕・両脚を含めたほぼ全身のマッサージになってしまいます。
お客様からはよく、「他の店ではこんなに手まで時間かけてマッサージしてくれない」と言われ、
同業者からは、「肩こりのお客でそんなに手のマッサージに時間をかけたら、時間が足りなくなるよ」と言われます。
同業者が言う理由はわかっていて、両肩や背中や腰のマッサージというのは左右一遍にできるのですが、腕を一本ずつ分けてマッサージすると時間がかかってしまうからなんですね。
一理あるのですが、お客様に頂いた時間の中で各所のマッサージの配分を、どう組み立てるかこそが、施術者の個性が出るところでもあるし、センスが問われるところだと思っています。

肘を真っ直ぐに伸ばして指圧するなんて意味がない

学生時代や新人の頃、よく教えられたのですが、
「施術者の体重を効率良く乗せるため、肘は伸ばして施術しろ」というのが、基本のように思われているようです。
しかし人間の筋肉って平面じゃないんですよね。
曲面なんです。
その曲面に対してぴったり合わせて「圧」を入れようとすると、肘も指も繊細に角度を保ってコントロールしなければいけなくなります。
「邪道」かどうかはわかりませんが、私は自分の足腰を含めて姿勢を様々に変えて角度を合わせ、肘も指先もコントロールしてお客様の筋肉の曲面に合わせて手技を行なっています。
つまり、私は手の外在筋も内在筋も総動員して手技を行なうので、施術中は手が熱くなりがちですね。
仕事してない時はむしろ冷たい手なんですけどね(笑)

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