鍼灸の効果?

鍼はプラセボにすぎない② ~鍼への臨床試験~

【鍼】
注意:
この治療法については、いくつかのタイプの痛みや吐き気には効果があるという、わずかな科学的根拠が得られているのみです。
それらの症状に効いた場合も、効き目は長く続かず、非常に小さなものとなるでしょう。
通常医療の治療にくらべて費用がかかり、効果は小さいとみてまず間違いありません。
この治療法の主な効果はおそらく、痛みや吐き気に対するプラセボ効果でしょう。
それ以外のすべての病気に対して、鍼にはプラセボを上まわる効果はありません。
鍼は、訓練を受けた施療者に打ってもらえば、かなり安全な治療法といえます。

代替医療解剖

上記は、『代替医療解剖』(サイモン・シン、エツァート・エルンスト)の最終章で、
著者が、鍼治療を受けようとする人に知らされるべき注意書きとして提案しているもので、
例えるなら、「タバコの箱に書かれているような、法律で定められた健康上の警告と似たようなもの」です。
批判したいためだけに完全否定しているわけではなく、これでも穏やかな方です。
特に、安全性について肯定的に評価されているのは救いでしょう。
効果が無い上にリスクも高いのでは、受ける意味が全くなくなってしまいます。

さて、鍼灸師、鍼灸接骨院は、鍼治療の効果・治療範囲をどの様に謳っているでしょうか?

鍼灸の効果?

多種多様な病気や症状に対して、「鍼は効く」と謳っているのではないでしょうか。
結論、それは嘘だと言って問題ないでしょう。

鍼には様々な病気を治す効果は無く、
他の代替医療や西洋医療には治せなくて、鍼ならば治せるという様な神秘の力など無く、
当然、「気」「経絡」「経穴」は存在を証明できず、
鍼にも効果があるとすれば、「痛み」に効く可能性があるぐらいだが、
その可能性がわずかに残された効果も、大部分が「プラセボ効果」である可能性が高く、
実の効果があったとしても、無いに等しいぐらいで、薬よりも効くという科学的根拠はない。

「どうして、ふんぞり返って言い切れるんだ!?」

と言う方は、先ず前回の投稿から読むことをお願いしたい。
鍼はプラセボにすぎない① ~プラセボ効果とは~
http://tanagokoro.pupu.jp/?p=1081

「何故、効くか」というメカニズムの解明は重要ではなく、
「効果が有るのか、無いのか」のみを正確に検証するために、水準の高い臨床試験にかける。
比較したい治療法以外は、取り巻く環境・条件を全て同じにする。
臨床試験という発明がなければ、現代医療はなかったぐらい重大なことだ。

二重盲検法

では今回の本題、鍼の効果を検証するために、どんな臨床試験が行われたか。

プラセボによらない実の効果を検証するために、
「症状に合わせて、鍼の理論で言うところの経穴に、鍼をしっかりと刺し届かせたグループ:A」と
「被験者は本物の鍼を刺されたと思っているが、実際には経穴に刺さっていないグループ:B」

この両群の被験者グループに出た効果を比較する。

ここで、「グループBが何を言っているのかわからない。そんな事は不可能だろう」
と言う人もいるだろうから、説明します。
方法は3つあります。

1:鍼を、ごく浅く打つ
2:経穴をはずして鍼を打つ

(3つ目は後述します)

中国の理論によれば、鍼が経穴に届かなければ治療効果はなく、
中国の理論によれば、的はずれなところに鍼を打っても医療としての効果はない。
であれば、中国理論に基づく打ち方の鍼治療と、1や2の方法による偽治療とで効果の差を比較するとどうなるか。

一定以上の水準の、信頼性の高い臨床試験のデータのみを、
一つ二つではなく、系統的に評価した結果、コクラン共同計画は、
鍼について、「ある種の痛みと吐き気のみ」には、(鍼治療を強く支持するほどではない)ぎりぎり肯定的な評価をしているが、
麻痺、喘息、手根管症候群、関節リウマチ、不眠症、非特異的腰痛、上腕骨外上顆炎、肩痛、月経痛、むち打ち症……これらの症状に対する鍼の効果は単なるプラセボ効果であると結論しています。
上記の症状は一部にすぎず、鍼は、あらゆる「病気」に対する効果を否定されているのです。

WHO

鍼灸師からの反論の一つに、
世界保健機関(WHO)が、鍼に対して、多種多様、あらゆる症状への有効性を認めている事があります。
WHOは医療に関する国際的権威なので、鍼は、きわめて効果的な医療であることが立証されたかに思われたかもしれない。
しかし、WHOは過ちを犯した。
過ちの一つ目は、すべての臨床試験の結果を考慮に入れている事。
ずさんな臨床試験を考慮に入れれば、最終的な結論を歪めてしまう。
コクラン共同計画がそうしたように、水準を課し、厳格に行われた臨床試験だけを取り上げた方が、信頼性の高い結論となる。
過ちの二つ目は、中国で行われた多数の臨床試験を考慮に入れた事。
最後に、WHOは、こと代替医療に関するかぎりは、真実よりも政治的公正を重んじている。

前回の投稿で書いたように、真実に近付くための臨床試験では、
バイアスがかかってはいけないし、プラセボによる効果をあらかじめ考慮し、
プラセボによらない効果の有無を比較しなければいけない。

マジックナイフ1

マジックナイフ2

さて、鍼の効果を検証する方法の3つ目です。

鍼に関する臨床試験の質を改善するために、
伸縮式の鍼が開発された。
その鍼は皮膚に突き刺さるように見えて、実は上部の太くなった部分に引っ込む。
それが改良され、工夫され、その伸縮鍼は刺した後もその場に立たせておくことができ、
患者には皮膚に軽く痛みを感じさせる(しかし刺さらない)。
これにより、患者は本物の鍼を打たれているものと思い込んだ。
鍼のプラセボ効果を検証するための理想は、鍼は実際に皮膚に突き刺さるべきではないという点において、
伸縮鍼は、「浅く打つ鍼」や「経穴をはずして打つ鍼」よりも、優れた偽鍼といえる。

そしてその結果は・・・

本物の鍼と、偽鍼には、同程度の効果があがったということである。

無治療に比べると、鍼にも偽鍼にも効果があるが、鍼と偽鍼に効果の差は認められない。
これは何を意味しているか。

プラセボ効果と真の治療効果

上の画像で言えば、鍼治療に関しては、緑の部分が無いのだ。
つまりは、鍼治療にはプラセボ以上の効果は認められず、真の治療効果を証明できないという事だ。

真の理想は二重盲検法であり、上記の臨床試験は患者(被験者)のみの単盲検であるが、
二重盲検にしたら鍼治療に有利な結果が出るということはないだろう。
結局、バイアスを取り除けば取り除くほど、鍼はプラセボにすぎないことが示唆されるのである。

「いや、私の患者は鍼によって治ったのだ」
「いや、私自身が鍼治療で治ったのだ」
「鍼が効くことを示す臨床結果、論文もあるぞ」

これらはすべて、本質からはずれている。
効果があっても、それはプラセボ効果の可能性がきわめて高い。
その意味は、中国の理論、鍼灸師の理論に基づく「経穴」には何の意味もなく、
「鍼を打ってもらった」と患者が思えば、経穴をはずしても、鍼ではなくても、ある程度の効果が出てしまうという事だ。

「患者が喜び、実際に改善を自覚しているのなら、プラセボでも良いじゃないか」
という意見にも同意できない。
実の治療効果のある治療法や薬というものは、実の効果にプラスしてプラセボ効果も付加されるのだ。
「プラセボのみ」の治療法を「プラセボ狙い」で行う行為というのは、患者に嘘をつくも同然であるし、
「良くなった気がする」という自覚症状の改善に隠されて、本当にするべき治療が遅れるかもしれない。

そして、対象グループ(プラセボグループ)との比較をせずに、
「私の患者には効いた」
「私には鍼が効いた」
「鍼が有効という報告もある」

と言うのは、科学ではなく、「意見」だ。

「医学の父」、ヒポクラテスの言葉がある。

科学と意見という、二つのものがある。
前者は知識を生み、後者は無知を生む。

↓続きはこちらです
鍼はプラセボにすぎない③ ~鍼灸師の反論~
http://tanagokoro.pupu.jp/?p=1125

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